電線・加工品
Cable & Assembly

Q&A

光ファイバーケーブル関連

一般

Q1. 光ファイバケーブルはメタリックケーブルと比べてどのような特徴がありますか?
光ファイバは低損失、広帯域、細径、電磁免疫性の特徴を持つので、中継器を介さず大容量で長距離伝送が可能で、ケーブルが細く軽く出来ます。また、電磁放射はなく電磁放射の影響を受けることもありません。
Q2. 光ファイバケーブルは最大何心までありますか?
標準的には1000心が最大です。ただし、フィールドで2000心まで、研究レベルで4000心まで実績があります。何れもテープ心線をスロットに高密度で収納することにより、細径、軽量の多心ケーブルが実現されています。
Q3. 光信号と電気信号はどのようにつながるのですか?
光信号と電気信号をシステム的に接続するためには電気・光変換機能を備えた送受信装置が必要です。電気信号は送信装置で光信号に変換され光ファイバに送り出されます。そして光ファイバを伝送されてきた光信号は受信装置で電気信号へ変換されます。電気信号を光信号に変換するものが発光素子といわれるもので、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)があります。また、光信号を電気信号に変換する受光素子にはPINフォトダイオード(PIN-PD)やアバランシェフォトダイオード(APD)があります。

ファイバ(一般)

Q4. 分散とは何ですか?
光パルスはわずかに異なった波長の集まりであり、波長によって伝搬時間が異なるため、伝搬中にそのパルス幅が時間的に広がる現象を波長分散といいます。波長分散は、材料分散と構造分散に分類され、シングルモード(SM)ファイバでは分散特性はこれら分散の和で表されます。
一方、マルチモード(MM)ファイバではパルスは伝搬速度の異なるいくつのモードに分かれて伝搬し、光源の波長は単一であっても、出射光パルスは入射光パルスより広い幅を持ちます。これをモード分散といいます。
各分散の大小は一般的に、モード分散≫材料分散>構造分散となっています。
Q5. カットオフ波長とは、何ですか?
同じ光ファイバであっても使用する光の波長によって、SMになったり、MMになったりしますが、MMからSMになる境目の波長をカットオフ波長といいます。すなわちSMファイバにおいて1つのモードのみ伝搬できる最短の波長をいいます。光ファイバは伝搬可能なモード数を規格化周波数Vで一意に決定され、V<2.405の場合に1つのモードのみ伝搬可能となります。
V=2π・(コア半径)・√((コアの屈折率)2-(クラッドの屈折率)2)/(波長)
Q6. NAとは、何ですか?
Numerical Aperture(開口数)の略語で、元々は光学レンズの性能の尺度の1つです。光ファイバの場合、端面からの光の入射が可能な最大角度の正弦値をその光ファイバのNAと定義しています。NA=sinθmax 従がって、NAの大きなファイバほど広い範囲から光を入射させることができ、光源との結合が容易となります。
Q7. SMとGIの違いは何ですか?
光ファイバ内を数多くの伝搬モードで伝搬する光ファイバがマルチモード(MM)光ファイバであり、最低次の基本モードだけを伝搬する光ファイバをシングルモード(SM)光ファイバと呼びます。MMファイバの内、屈折率分布を中心に向かって連続的に大きくしたファイバがグレーデッドインデックス型(GI)ファイバです。SM型は長距離大容量伝送、GI型は中長距離、中容量伝送を目安に使い分けされています。

ファイバ(SM)

Q8. SM型光ファイバのコア径とモードフィールド径の違いは何ですか?
コア径とは、コア、クラッドの屈折率より物理的に定義されるコア領域を示すのに対し、モードフィールド径は、実際にファイバに光を入射したときの伝搬モードの強度分布の広がりを示します。SM型光ファイバでは、コア径が小さいために直接測定する事が難しいことや、また製法により屈折率分布が多様に異なっているため有効なパラメータとはいえない等により、実用的なモードフィールド径が使われています。
Q9. 一般のSMファイバ(1.31μm用)を1.55μmの波長で使用しても大丈夫ですか?
1.31μmゼロ分散型のSMファイバでも、1.55μmで通信することはファイバの伝送特性上可能です。しかし、1.55μmで使用する場合には一般に、曲げ、側圧等の機械特性が厳しくなるため、システム全体(伝送装置、線路構成物品、施工工法等)との整合・確認が必要となります。原則的にメーカ仕様書記載の使用波長での運用をお勧めします。
Q10. WDMではいくつもの波長で送信しますが、SMファイバは1つのモードしか送信できないのではないですか?
SMファイバでは1つの波長に対して1つのモードで伝送されますので、複数の波長で伝送を行なうWDM(波長多重伝送)では、個々の波長に対してモードが1つ存在することになります。このとき個々のモードは波長が異なるため、お互い干渉することなく伝送する事が可能です。

ファイバ(GI)

Q11. 伝送帯域とは何ですか?
伝送帯域は光ファイバが1秒間にどの程度の情報量を送ることができるかを表す尺度です。一般に光の入力信号の振幅は周波数が高いほど減衰します。この減衰の割合は光ファイバによって異なり、入射した光の強度が出射端で半分に減衰する(強度振幅で3dB、電圧振幅で6dBダウンする)周波数をその光ファイバの伝送帯域としています。
Q12. GIファイバで伝送帯域の規格が何種類かありますが、どのように使い分けするのですか?
使用するネットワークの種類やケーブルの配線長によります。ギガビット・イーサネットで500m配線しようとした場合、50/125GIケーブルでは400MHz・km(850nm及び1300nm)、62.5/125GIケーブルでは、500MHz・km(1300nm)以上であることが規定されています。
Q13. GIファイバの距離における帯域計算はどのようにしますか?
帯域と距離は反比例の関係にあります。したがって、同じファイバで長さが半分になった場合、帯域はおおよそ2倍になります。
Q14. 価格的にはSMファイバの方が安いと思いますが、LAN用には何故MMファイバが使用されるのですか?
光ケーブルだけを考えた場合SMファイバの方が一般的に安価です。しかし送受信用の機器はSM用の方がMM用に比べ高価です。このためシステムで考えた場合、MMで構成した方が安価になるため、LAN等ではMMが主流となっています。
Q15. GIファイバで50/125と62.5/125の2種類がありますが、どのように使い分けますか?
50/125は日本仕様、62.5/125は北米仕様のGIファイバです。したがって、LAN等で北米仕様の機器(システム)に接続する場合は62.5/125を、国内仕様の機器(システム)に接続する場合は50/125を使用することになります。
Q16. 異種ファイバの接続特性はどのようになりますか?融着接続はできますか?
・SMとGI
・50/125GIと62.5/125GI
接続することは可能です。コア径が異なるファイバを接続すると、コア径小→大の場合は大きな問題はありませんが、コア径大→小の場合はコア径の差が大きいほど大きな損失が生じてしまいます。異種ファイバを接続した場合の特性はメーカでは保証されません。

信頼性

Q17. 光ケーブルの寿命は何年ですか? その評価方法はどのようにしますか?
光ファイバは製造過程で全長にわたって確率的に傷が発生する恐れがあり、強度低下の原因となっています。この傷を除き、光ファイバの長期寿命を保証するために、通常スクリーニング試験と呼ばれる加速劣化試験を行います。スクリーニング試験では、光ファイバの線引き工程時に短時間一定の張力を加え、傷のため弱い部分をあらかじめ切断・除去してしまい、これにより強度を保証します。
Q18. 光ファイバ心線、コ-ド、ケーブルは湿度の高い場所での使用や水に浸かった場合でも問題ありませんか?
光ファイバの寿命を20年間保証するために0.5%以上スクリーニング試験を合格した光ファイバ素線を使用しています。光ファイバ心線、コード、ケーブルは、湿度が高くても特に問題ありません。水に浸った場合は短期間なら問題ないですが、長期間であると水の影響により光ファイバの破断寿命の短縮が生じたり、ケーブル内の金属の腐食に伴い発生した水素による損失増加等の問題が生じます。
Q19. 光ファイバケーブルの使用温度範囲及び保存温度範囲はどのくらいですか?
一般の光ファイバケーブルは、屋外用の場合-20℃~60℃間の温度範囲、屋内用の場合-10℃~40℃間の温度範囲で特性を満足するように設計されています。
Q20. 光ファイバ心線、コ-ド、ケ-ブルはどのくらい曲げても大丈夫ですか?布設作業時に瞬間的なら許容曲げ径を下回る小さな曲げが加わっても大丈夫なのですか?
一般には、光ファイバ心線及びコードは半径30mmまで、光ファイバケーブルはケーブル外径の10倍以上の曲げ半径までなら問題ありません。許容曲げ径を下回る小さな曲げ径が加わると、曲げによる光損失の増加や、光ファイバにある微細な傷が大きくなり、破断寿命の短縮が生じる等の問題が生じます。
Q21. 光ファイバケーブルになぜテンションメンバが入っているのですか?
光ファイバは、銅に比べて伸びが小さく、光ファイバ心線が伸ばされてしまうと、光ファイバにある傷が促進され破断寿命が短縮してしまいます。よって、光ファイバ心線が必要以上に伸ばされないようにするために、ケーブルにはテンションメンバと呼ばれる抗張力体を入れています。光ケーブルの許容張力はテンションメンバが0.2%伸びた時の張力から算出しています。
Q22. 光ファイバケーブルで誘導対策が必要となることがありますか?
光ファイバ自身は絶縁物で構成されているため電磁誘導の影響はありませんが、光ケーブルに鋼線のテンションメンバ、介在対、アルミシースなどの金属体を使用した場合には誘導防止対策が必要となります。しかし、ノンメタリックタイプの光ケーブルでは、そのような対策は不要となります。

施工

Q23. 光ファイバの接続はなぜ難しいのですか?
光ファイバを接続する場合は接続される2本の光ファイバのコア同士を正確に一致させることが必要です。特にSMファイバではコア径が10μmと小さく、少しの位置ずれでも接続損失が生じます。この他、光ファイバの折れ曲り、間隔、端面傾斜、端面粗さなどを考慮して接続しなければならず特別な装置が必要となります。
Q24. 光ファイバの接続は、どのように行えば良いのですか?
光ファイバの接続には①融着接続と呼ばれる永久接続法と②コネクタ接続と呼ばれる着脱可能な接続方法があります。
① 融着接続:アーク放電などで光ファイバの端面を溶かして接続する方法です。融着には融着接続機を使用します。
② コネクタ接続:光ファイバをフェルールに接着固定し端面を研磨しコネクタ組立して接続します。
Q25. 光ケーブルの布設時はどのようなことに注意すれば良いのですか?
光ケーブルの布設には以下事柄等に注意が必要です。
① 布設張力はケーブルの許容張力を越えない事
② ケーブルの許容曲げ半径を確保する事
③ ケーブルの捻回、キンク等避ける事
④ ケーブルに側圧が加わらないよう考慮する事
Q26. 布設張力はどのように計算すればよいのですか?
布設張力は一般的には次の計算方法によります。
①直線水平:T=μWL
②直線傾斜:(上り)T=WL(μcosθ1+sinθ1)(下り)T=WL(μcosθ1-sinθ1)
③水平曲線:T2=T1eμθ2
T:布設張力 T1:屈曲前張力 T2:屈曲後張力 W:単位長当りのケーブル質量 L:ケーブル長 μ:摩擦係数(通常0.5で計算) θ1:傾斜角 θ2:屈曲角
Q27. 光ファイバの損失測定は、どのように行えば良いのですか?
① 透過法(光源、パワーメータ)による測定:被測定ファイバの入射端近傍を切断することにより 出射端の光パワーPo、入射端の光パワーPiを測定し、ファイバ損失=-10logPo/Pi(dB)として求めます。
② 後方散乱法(OTDR)による測定:被測定ファイバに光パルスを入射させ、入射端に反射されるレイリー後方散乱光を検出して測定します。

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