Q&A
ケーブル関連
- Q1. マイクコードのスターカッド撚りとはどういうものですか?
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対角のコアを平衡回線で使用した場合、電磁誘導の影響を打ち消しあう事になり大幅な低減を実現できる撚り構造です。
- Q2. 複数本の同軸コードを敷設する際に同軸線間の信号の漏話とかの影響はありますか? また電力線の影響はありますか?
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同軸線間の場合は電力が小さい為さして影響はありませんが、電力線を近くに置くと影響があります。
- Q3. 伝送する音質をよくするのに、OFC導体にするのと導体を太くするのではどちらの要因が有効ですか?
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抵抗値がかかわって来ます。より導体の抵抗が低い物にすると良いので、導体を太くするのが有効です。
- Q4. ケーブルの最小曲げ半径を教えてください。
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同軸の様な固く固定配線的な物は、径の10倍を最小と考えていただくと良いでしょう。
- Q5. 架橋はどのようなメリットが有りますか?
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架橋を施することにより、分子間の結合が強くなり耐熱性が向上し、半田加工性が良くなります。
- Q6. 環境問題はどの様に対応しているのですか?
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エコケーブルや非鉛品を用意しております。
- Q7. 防鼠ケーブルの特長について教えてください。
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鼠の学習能力を利用し、トウガラシのカラミ成分をコンパウンドに練り込み、2回、3回とかまれるのを防ぎます。
- Q8. 耐寒性・耐候性の製品はありますか?
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受注製造にて対応しています。耐寒性の優れたTUFRETについては、下記を参照してください。
- Q9. 特性インピーダンスって何ですか?
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無限に長い同軸ケーブルの送端から見た高周波に対するインピーダンスの事です。
- Q10. VSWRって何ですか?
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有限長の同軸ケーブルの受端において、同軸とは異なる抵抗をつなげた時に反射波が起こり進行波と干渉し、定在波が発生します。同軸のインピーダンスと終端抵抗どの位整合しているかを一般的にVSWR(定在波比)といいます。
- Q11. ケーブル構成材料はどのようなものがあるのですか?
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下記で詳しく説明いたします。
ケーブル設計において、材料選定が重要なファクターとなります。
当社では、各種の条件に対応するよう、豊富な構成材料を用意しています。
導体材料
一般用電気銅(タフピッチ銅)
電気銅より精製された銅で、酸素を0.02~0.06%含有しており、古くから電線の導体として広く用いられています。導電率は98~100%です。
無酸素銅(OFC)
酸素の含有率を0.001%以下としたため、導電率の向上(101~103%)と耐水素ぜい性(高温の水素中にて加熱された場合、銅が脆くなる)が改善されています。一般用電気銅に比べ耐屈曲性、耐捻回性、耐半田付性にも優れているため、移動、屈曲、捻回等の苛酷な条件で使用されることの多い、放送用ケーブルの導体として大変適しています。また音質的にも優れた効果が認められるためこれからのデジタル時代の音声、電源ケーブル用としても大いに期待されています。
銅合金(ALLOY)
銅に各種の金属を添加した合金線で、強度の増加により細線化を行なう時などに用います。
メッキ
スズメッキ(T)
半田付性を向上させるためと導体の腐食を防ぐ目的からスズメッキを施します。
スズコート(TC-T;スズ一括コーティング)
それぞれスズメッキした導体を7ヶ撚りし、その上に溶融スズをコートしたもので、主にラッピング(巻付)接続用のメッキとして開発されたものですが、圧着、半田付にも適しています。
半田メッキ(HP-A;半田一括コーティング)
半田付性の向上のため、半田をメッキしたものです。
絶縁材料
ポリ塩化ビニル(PVC,V)
①電気的・機械的にも比較的良い特性を持つ
②難燃性、耐食性、耐水性にも良い
③比較的価格が安い
等の理由から絶縁材料としては広く用いられていますが、
①高周波特性が悪い
②耐熱温度が低い(60℃)
等の欠点も持っています。
架橋ビニル(XL-V)
前記PVCに電子線照射(化学的な場合もある)を施し、分子間の配列から網状分子配列にしたもので、
①耐熱温度が80~105℃と大幅に向上
②半田付の時の変形が非常に少なくなる
等の点で特性の向上を図ることができます。
ポリエチレン(E)
①電気的特性、耐薬品性は非常に優秀 ②耐オゾン性、耐水性、耐候性も優秀という特長と ③熱には弱く燃えやすい等の欠点も持っています。
架橋ポリエチレン(HC-E)
上記ポリエチレンに電子線照射したもので、熱に弱いというポリエチレンの欠点を改良したため、半田付の時の変形は非常に少なくなり、作業性も大幅に向上しました。
発泡ポリエチレン(CE)
ポリエチレンの誘電率を下げるため発泡剤を加えてスポンジ状にしたもので、発泡度を変えることにより誘電率を変化させることができるため、①同外径の場合、静電容量を下げられる ②同静電容量の場合は外径を細くできる ③軽量化が図れる等の特長がありますが、機械的強度が若干下がる欠点があります。
架橋発泡ポリエチレン(HC-CE)
上記発泡ポリエチレンに電子線照射を施したもので、耐熱性、機械的特性が向上します。
テフロン(FEP)
電気的特性、耐熱性、耐薬品性、耐候性などあらゆる点で優れていて、理想的な有機材料です。
介在材料
介在はケーブルを丸く仕上げるためだけでなく、ケーブルの強度にも深く関係する材料です。介在の選び方によってケーブルの強度(特に引張り強さ)が大きく変わってきます。代表的な介在材料としては下記のものがあります。綿糸
綿花よりとれた糸を多数本撚り合わせたものが使われます。
ジュート(黄麻)
麻糸を撚り合わせたものが使われます。
ピアノ線
吊マイクロホンコードのメッセンジャーワイヤなどに使用しています。
合成繊維
各種の合成樹脂ひもが用途に応じて使われます。
しゃへい(シールド)
編組
可とう性、しゃへい効果に優れたしゃへい方法で、一般的に広く使われています。使われる材料としては、①銅 ②鉄等が一般的です。φ0.1~0.2mmの素線を3~10本程まとめたものを絶縁体上に交互に編んでいったものです。
横巻
軟銅線扱いは錫メッキ軟銅線を多数本絶縁体上にラセン状に巻き付けたもので、端末加工は非常にやり易くなっています。耐屈曲性、耐捻回性を要求される場合は二重に巻き付ける(互いに逆方向)ことにより特性の向上を図ります。
テープ巻
銅、アルミ、アルミラミネートポリエステルテープ(ポリアルミテープ)等を絶縁体上にラセン状に巻き付けたもので、外径が細くなり軽量化が図れます。しゃへい密度は100%となりますが、編組、横巻に比べケーブルが若干柔軟性を失うきらいがあります。
導電性樹脂
カーボン(炭素)等を含んだ導電性樹脂を押し出し加工にて絶縁体上に被覆させたもので、しゃへい効果は、他の金属に比べて若干落ちます。
シース材料
ポリ塩化ビニル(V)
絶縁材料のPVCと基本的には同じですが、①耐摩耗性の向上 ②可とう性の向上 ③耐候性の向上等の点で材料配合が考慮されています。
特殊グレード;
●防鼠性(RPC)
ネズミの食害対策に用います。唐辛子の辛味成分を主体としたネズミ忌避剤をマイクロカプセルに封入し電線被覆材料に添加混練りしてありますので、長時間にわたり鼠害から保護する事が可能です。
●非移行性(NR)他のプラスチックとの接触による色、配合剤の汚染がない配合です。
●医療用無毒性(M-PVC)医療用コンパウンド自主規格をクリアする配合です。
その他耐油性、柔軟性、耐寒性、耐候性等の配合品があります。ポリウレタン(PUR)
ゴムの特性を持った合成樹脂で弾力性があり耐候性、耐油性、耐摩耗性に優れていますが、摩擦抵抗が大きい欠点があります。
タフレット(TUFRET)
当社の永年にわたる研究の結果開発されたビニルとクロロプレンゴムの両方の特長を持ち合わせたシース用の材料で、今後多方面への使用が期待されています。1耐摩耗性、強じん性、耐寒性、耐油性等の点でクロロプレンゴムよりも優れ、2耐熱性、耐水性、弾力性等はクロロプレンゴムと同等の性能を有しています。タフレットの難燃性付与タイプ(FR-TUFRET)
も有ります。
TUFRETと従来材料の比較
TUFRET | クロロプレンゴム | PVC | |
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使用温度範囲(℃) | -60~+90 | -40~+80 | -20~+60 |
耐摩耗性 | ◎ | × | △ |
耐油性 | ◎ | ○ | × |
強じん性 | ◎ | ○ | △ |
耐水性 | ○ | ○ | ○ |
耐熱変形性 | ◎ | ◎ | △ |
硬度(ショアA) | 80 | 67 | 82 |
(◎ > ○ > △ > ×)