株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り心より感謝申し上げます。
第83期の当社グループを取り巻くエレクトロニクス業界におきましては、車載市場においては半導体や部材の調達難の解消から堅調に推移しました。半導体関連の設備投資は調整局面が続き、産業機器市場においても調整の動きが一層強まり、先行きが不透明な状況が続いております。
このような環境の下、電線・加工品セグメントにおいては、産業機器用ケーブルは全般的な生産設備への需要の落ち込みから売上が減少しております。半導体検査装置用ケーブルは半導体関連の設備投資抑制が続き減少となりました。また、北米のエネルギー産業関連ケーブルは予定していた案件の失注や延伸があり大幅減少となりました。車載用ケーブルは堅調に推移し、医療用ケーブルは各医療機器向けが伸び増加となりました。以上により、売上高は248億24百万円(前年同期比11.7%減)となりました。売上の減少等により、セグメント利益は16億59百万円(同47.5%減)となりました。
電子・医療部品セグメントにおいては、電子の分野において、EV用普通充電器は業務用車両のEV化需要により売上が増加しました。また、放送機器においても放送局の建て替え需要により売上が増加しております。医療部品の分野では医療用特殊チューブの売上が微増となりました。以上により、売上高は44億70百万円(前年同期比9.3%増)となりました。売上が増加したことによりセグメント利益は8億45百万円(同8.4%増)となりました。
以上の結果、売上高は293億26百万円(前年同期比9.0%減)となりました。売上高が減少したことにより、営業利益は16億67百万円(同46.3%減)となりました。円安による為替差益等により、経常利益は20億81百万円(同40.6%減)となりました。前年同期に発生しました固定資産売却益5億64百万円(特別利益)、為替換算調整勘定取崩額1億44百万円(特別損失)は無くなりましたが、当年度において訴訟関連損失4億35百万円が発生し、親会社株主に帰属する当期純利益は14億44百万円(同51.1%減)となりました。
当期の期末配当につきましては1株につき18円とさせていただきました。 今後の見通しにつきましては、各国のインフレ抑制に向けた金融引き締めの影響、中国の不動産市場悪化による個人消費の低迷による減速、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の不安定化など、世界経済の見通しは不透明感を増しております。当社の関連する市場において、IoTデバイスの拡大、AIの進化と普及などデジタル化の進展によりデータトラフィックは増大を続けており、当社の高速大容量伝送・高信頼性のケーブルを必要とする領域は拡大を続けております。車載用ケーブルにおいてはADAS機能の向上、電装化の進展により引き続き需要の拡大が見込まれます。また、脱炭素の取り組みを背景にエネルギー産業関連ケーブルも北米を中心に底堅い需要が見込まれます。先行きが不透明な中にあっても、デジタル化の中で高まる高速で安定した大容量データ通信への要求を捉え、売上、利益の拡大に努めてまいります。
役員・従業員一同、一層の努力を重ねてまいります。株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
2024年7月